(出典:島村楽器)
ストラディバリウスと同じく、世界最高峰のヴァイオリンとされているグァルネリ(ガルネリ)。
しかし、ストラディバリウスに比べるとあまり知名度がありません。
その理由は何なのでしょうか?
そもそも、グァルネリとは何なのか?
グァルネリウスとも呼ばれるけど違いはあるのか?
グァルネリ・デル・ジェス?デル・ジェスという言葉はどこからきたのか?
入り口の段階でかなりややこしいグァルネリ。
今回はこれらについて説明していきたいと思う。
目次
グァルネリとは?
グァルネリという名前の由来は、それを製作したグァルネリ一族の名前が由来となっています。
主にはその一族の中の1人が製作したものを示しています。
その方の本名がコチラ。
バルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリ(1698年~1744年)
割と長い本名ですよね。
ヴァイオリン製作者一族、グァルネリ家の中でも最高の製作家とよばれている人物です。
ちなみにグァルネリという名前はこの一族が製作した弦楽器のことを指しているので、
ヴァイオリンだけではなく、他にもチェロやヴィオラなどの弦楽器も存在します。
なぜデルジェス?なぜグァルネリウス?
バルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリは通称デル・ジェスと呼ばれています。
作品自体もグァルネリ・デル・ジェスと呼ばれたりしています。
あれ?名前関係ないけどなんで?と思われた方もいるでしょう。
このデル・ジェスの由来は製作されたヴァイオリンのラベルのロゴマークにあります。
「ベルナルディーノの徴」と呼ばれるこのロゴマークは、IHS(イエス・キリストを表したもの)と十字架を組み合わせたロゴマークです。
これから「イエスのグァルネリ」=「グァルネリ・デル・ジェス(イタリア語)」と俗に呼ばれたのが理由となります。
それが元となり、「デル・ジェズ」と通称で呼ばれるようになったのです。
次にグァルネリウスについてです。
なぜグァルネリはグァルネリウスとも呼ばれているのか?
そういえばストラディバリもストラディバリウスと呼ばれていますよね?
これらの理由は2つとも同じです。
ストラディバリやグァルネリはイタリア語。ストラディバリウスやグァルネリウスはラテン語。
言語の違いで呼び方が分かれているだけなので、意味は同じです。
なぜストラディバリウスの方が有名なのか?
世界3大ヴァイオリンとしてストラディバリウスと肩を並べているグァルネリ。
値段もグァルネリの方が高値の場合もあるし、製作された時期もそんなに違いはない。
高い理由もストラディバリウスが高い理由と似たようなもの。
それだけで考えるとグァルネリももう少し知名度があってよさそうなのに。
なぜこんなにもストラディバリウスの方が有名なのでしょうか?
その大きな理由として考えられるのが、グァルネリの数です。
このグァルネリ一族が製作したヴァイオリンはおよそ200挺。
現存しているものはおそらくその半分にも満たないでしょう。
それに比べ、ストラディバリウスは1200挺ほど製作されています。
そして現在でもその半分の600挺ほど残っているといわれています。
少ないとはいえ、グァルネリに比べたらかなりの数です。
今となっては十分に市民権を得たストラディバリウスですが、そもそもみなさんストラディバリウスを何で知りましたか?
ヴァイオリン経験者を除いてです。
これ、結構重要なポイントだと思うんです。
思い返してみてください、まだストラディバリウスの名前を聞いたことのなかったあなたを。
その知った情報元は様々だと思いますが、多くの方はテレビで知ったんではないでしょうか?
やはり数が残っているストラディバリウスの方がメディアもとりあげやすいんです。
もちろん他にも理由はあるでしょうが、そもそも残っている数が少ないというのが根本の要因だと私は考えます。
最高値のグァルネリとは?
グァルネリ・デル・ジェス「ヴュータン」
※冒頭の写真はヴュータンのコピーモデルです。
1741年に製作されたこちらのがヴァイオリンが史上最高値のグァルネリになります。
そして歴代で最も高いヴァイオリンがこれです。
この名前は、ベルギーのヴァイオリニスト「アンリ・ヴュータン」が演奏していたことが由来となっているそうです。
2010年に売りに出されたヴュータンですが、1800万ドルの売値がつけられたことで当時は話題になりました。
日本円にすると当時のレートでおよそ16億円といったところでしょうか。
ロンドンのバンカーが保有しており、シカゴの取引会社を仲介して売りに出されたヴュータン。
これを所有したのはヴァイオリニスト「アン・アキコ・マイヤーズ」
実際にこのヴュータンで演奏されたCDなどもリリースされています。
売りに出されてからおよそ2年半程の年月を経て売れたヴュータンですが、実際に売れた具体的な価格は分かりません。
しかし、これに近い価格で取引が行われたことは事実のようなので、どちらにせよ史上最高値のヴァイオリンということになります。